その日は突然訪れた。 ボクが異様な気配に気づいて跳び起きたときには 「それ」は始まっていた。 世界樹の麓から、島の全域に至るまで広がった、彼らの文明。 その灯が今まさに、消えかけていた。 地上に降りて状況を確認しようと逡巡した、その瞬間。 身の毛がよだつような感覚を覚えた。 間違いなく、この災厄の元凶だった。 奴は地上を粗方灼き尽くしたそのあと およそまともな生命とは思えぬ速さで空を駆け…… この天陽郷を墜とさんとした。 「定命の者に、過ぎたる力は貸さない」 自らに課した掟は、自分でも驚くほど、容易く破られた。 それほどまでに、ボクはこの場所を気に入っていたんだろう。 ……手を抜いたつもりはなかった。 湖を裂き、丘を砕いて……この地の多くを犠牲にしてなお ボクは奴に敗北した。 奴は……星を「喰らって」いた。 星に深く根差す生命……つまり草木のような自然的存在に近いほど 奴の前ではその力を吸われ、赤子も同然になるのだろう。 あと少し戦いが長引いていれば、ボクはとどめを刺されていたはずだ。 ただ、彼らが…… 決死の覚悟をしたヒトの子たちと、彼らに手を貸した強大なパルたちが その身を賭して戦ってくれたから。 奴は世界樹へと封じ込められ、ボクは生き残った。 情けない話だ。 彼らよりずっと永きを生き、力を持つはずのボクが。 今は彼らの犠牲によって、生き永らえている。 ……ボクには、この災厄を、終わらせる義務がある。